退職前にしておくべくことは、思いのほかいろいろとあります。提出しなければならないさまざま書類、健康保険の選択、住宅ローンの借入れ、税金対策、失業手当の受給手続き、定年後の第2の人生計画などなど、やらなければいけないことは山積みです。わかってはいるんだけど、いざ退職する段階になるとうっかり忘れていたり、あるいは十分な知識がないがために損をしたりする事もあるかもしれません。
これらをしておかないとこの先、生きていけないということはありませんが、退職後の不安な気持ちを少しでも和らげるため、また、少しでも多く得をして会社を辞めるため、以下で説明する事柄を退職前にきちんと準備しておき、そのときになってから慌てないよう、心に余裕をもたせて退職することをオススメします。
■目次
(1) 退職後の医療保険を決めておく
(2) 政管健保なら退職前に成人病予防健診を受けておこう
(3) 住宅ローンの借入れ
(4) クレジットカードの作成
(5) 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しよう
(6) 当サイトをひと通り読むこと(笑)
(1) 退職後の医療保険を決めておく
退職前に予め決めておいた方がいいのは、退職後、どの健康保険に加入するかということです。退職すると、健康保険の被保険者資格は退職日の翌日に喪失し、加入していた健康保険の適用は受けられなくなります。日本の医療保険制度では、国民のすべてがいずれかの制度に加入する国民皆保険制度をとっており、どの健康保険に加入するかは自分自身で選択することができます。
退職後の医療保険には、大きく分けて3つあり、
①家族の被扶養者となるか
②現在加入している健康保険を任意継続するか
③国民健康保険に加入するか
です。「そんなの退職後にゆっくり考えればいいじゃん」と思うかもしれませんが、実はそこがポイントで、任意継続に加入するためには退職後20日以内、国民健康保険に加入するには退職後14日以内に手続きを済ませなければなりません。
任意継続はこの期間を過ぎたら一切受け付けてもらえなくなりますし、国民健康保険への加入が遅れたら社会保険が切れた時点へさかのぼって国民健康保険税を納付しなければなりません。後になってから「あ~任意継続にすればよかったなぁ」と思ってもすでに遅いのです。
そうならないためにも、以下の記事を参考にして予めどの健康保険に加入するかどうか考えておくといいでしょう。
退職後の健康保険の選び方
健康保険の任意継続のメリット
国民健康保険の特徴
(2) 政管健保なら退職前に成人病予防健診を受けておこう
政府管掌健康保険では、被保険者の成人病の予防や健康保持のために成人病予防健診をおこなっています。政管健保に加入している方は、加入前に1度健診を受けておくとよいでしょう。健診費用は、2割程度が自己負担、残りの8割は国が負担してくれます。
問い合わせや申込みは、(財)社会保険健康事業財団の都道府県支部、もしくは住所地の最寄の社会保険事務所か地方社会保険事務局にご連絡してください。
(3) 住宅ローンの借入れ
会社を退職すると社会的信用が薄くなってしまうので、住宅ローンを組もうと思っている方は、退職前に済ませておくべきでしょう。「無職」「失業中」という状態にあるだけで、金融関係の審査が退職前よりぐっと厳しくなります。退職後に困った事にならないよう、予め準備しておきましょう。
もっとも、これから失業者になろうとしている人が、無理に住宅ローンを組んでローンの破綻者になってしまっては元も子もないので、無理をしない範囲内で、月給の4分の1ないしは5分の1ぐらいに返済金額を設定しておくべきでしょう。
(4) クレジットカードの作成
上記で述べた住宅ローンの借入れ同様、クレジットカードも退職前に作成しておきましょう。いまや、リアル店舗でもネットショッピングにおいても、クレジットカードのあるなしでは、今後のライフスタイルが変わってきますし、買えるものも買えなかったり、買えたとしても代金引換となり、追加料金を取られてしまいます。
クレジットカードも、失業中の状態にあると審査に通らない事がほとんどです。家で自営業をしていて、そこでアルバイトをしていることにできるならまだしも、そういった奥の手がない人は在職中にクレジットカードに入会しておくようにしましょう。
どのクレジットカードに入会するかを迷っている方は、リクルートが運営するあるじゃんnet でクレジットカード比較をしていますので参考にしてみてください。直接、オンライン申し込みをすることもできますし、資料請求してから申し込むこともできます。
(5) 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しよう
退職時に受け取る退職金にも所得税がかかりますが、退職金は今後の生活を支える重要な資金なので、退職所得にかかる課税額には、軽減措置が取られています。
そのうちのひとつが、退職所得控除といわれるもので、退職金から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた残りの額の2分の1を課税対象額とするものです。この「退職所得控除」を受けるためには、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払い時までに会社に提出する必要があります。詳しくは、以下の記事を参照してください。
まぁ、最後のはオマケですが、中途半端な知識で終わらないよう、当サイトをひと通り読んでおくことをオススメします(笑)。