上手な退職・下手な退職

求人広告はココをチェック!

転職のための求人情報の収集法/メリットとデメリットでも述べましたが、求人情報の収集方法は新聞、求人情報誌、インターネット、ハローワーク、人材紹介会社、公的人材銀行など多くの手段があります。

これらの求人広告に共通することは、いずれも限られたスペースの中で必要最低限の情報しか記述されていないことです。紙面上の制限にとらわれないインターネットの求人情報サイトですら、やはり限られた広告スペースしか与えられていません。私たちは、この限られた情報をじっくりと吟味し、自分に合う会社を見つけ出さなければなりません。

たかが広告、されど広告。自分の一生を決めてしまうかもしれないこの求人広告の見方をきちんと理解しておけばあとは怖いものはありません。知っているつもりでも誤って認識していることはよくあることなので、ここでしっかりと求人広告のチェックポイントをマスターしていきましょう。

(1) 職種
(2) 応募資格
(3) 勤務地
(4) 勤務時間
(5) 休日・休暇
(6) 給与
(7) 待遇・福利厚生
(8) 応募方法

 
 

 

チェックポイント①職種

1番最初にチェックすべき項目が職種です。自分のやりたいことを単に選ぶだけではなく、実際の仕事内容はどういうものかをきちんと把握しておく必要があります。

例えば、「営業」といっても新規開拓営業なのか、ルートセールスなのか、「ネットワークエンジニア」といっても、「サーバー運用」なのか、「プログラミング開発」なのか、それとも「ネットワークの監視」なのか、そういった細かいところをしっかりとチェックしなければなりません。

特に職種内容が多岐にわたりやすいIT系の求人広告は注意が必要です。毎日、画面とにらめっこの「ネットワーク監視」と「サーバー構築」ではその仕事内容は雲泥の差です。

自分がイメージしていた仕事内容と、実際の仕事内容は、必ずしも一致するとは限りませんので、詳しく掲載されていない場合などは、事前にメールや電話などで確認をとっておくほうが良いでしょう。

自分のイメージする仕事内容と実際の仕事内容が一致するかどうかをチェック!

 

チェックポイント②応募資格

応募資格で問われる条件として、主に以下のようなものがあります。

(1) 年齢制限
(2) 経験の有無・経験年数
(3) 資格の有無
(4) 学歴

応募資格は、即戦力を望んでいる会社でない限りは、応募資格に多少当てはまらなくても応募できたり、面接までもっていけるケースは多いです。

というのも、ほとんどの求人広告の場合、応募条件を高めに設定してあるからです。実際はたいした技術者もいないのに、「スペシャリスト集団の中で自分を鍛えてみませんか?」みたいな大袈裟なキャッチフレーズをつけていることもあります。特に、中小企業はアピールポイントが少ないので誇大広告に陥りがちです。

なので、自分の能力が応募資格に満たないからといって、すぐにあきらめてしまうのは早計です。熱意とやる気さえ見せることができれば、その熱意は必ず相手に伝わるはずです。

また、どうしようもない問題として「年齢制限」がありますが、これもあくまでも目安程度に考えておくべきでしょう。「35歳ぐらいまで応募可能」と掲載されていたからといって40歳の人が応募できないわけでもありません。問題は、年齢制限を超えていたとしてもその穴を埋めるほどの技術と経験をもっているかどうかが大きなポイントとなります。

応募資格に満たないからといってすぐにあきらめないようにしましょう!

 

チェックポイント③勤務地

これも転職を考える上で大きなポイントです。この勤務地を正確に表記していない会社は意外と多かったりします。「勤務地応相談」となっている場合は、希望の勤務地に配属されないかもしれないことを頭の中に入れておきましょう。

また、よくありがちな勘違いとして、本社が家から近いから応募したら、実際には支社配属だったというケースです。これは、支社をたくさん抱えている中堅・大企業によくありがちなパターンです。

地元に支社がある企業の場合も注意が必要です。面接は支社で受けさせられることが多いので、支社配属かと思いきや、実は本社配属させられたりなど…。

派遣企業も注意しなければなりません。たいてい最初の1年は家から近い場所に勤務させられますが、何年か経ったあとに急に遠隔地へ飛ばされ、最悪、単身赴任なんてことにもなりかねません。

派遣の場合は、自分の意思で勤務先を選べないことが多く、何度も拒否していると、仕事のやる気を問われてしまいます。家から近い場所での勤務を考えている方は、遠隔地への派遣があるのかどうかをしっかり確認しておくべきでしょう。

いずれにしても、勤務地は非常に重要な問題なので、応募前に会社に問い合わせるか、面接時にしっかりと確認しておきましょう。先に確認しておかないと、あとで泣きをみるのは自分自身だということを忘れないでください。

勤務地は事前に確認しておく!勤務先が変更する可能性があるかどうかもチェック!

 

チェックポイント④勤務時間

求人広告に掲載されている勤務時間は、就業規則での勤務時間(9:00~17:00)なので、残業時間や早朝出勤まで詳細に書かれていることはほとんどありません。

電話で問い合わせするような内容でもないので、面接の時にしっかりと確認しておきましょう。会社によっては、月100時間を超える残業代があたりまえのような会社も珍しくはありません。事実、私も面接時には残業代は月に40時間程度と聞いていたにも関わらず、実際には100時間を超えていました。

自分の時間を大切にしたい方、仕事人間になりたくない方は、このあたりを正確に聞いておくようにしましょう。後に退職したいと思ったときに、面接時の残業時間と実際の労働時間があまりにくい違っていたことを理由とした会社都合退職にすることも可能となります。面接では、ボイスレコーダーでも仕掛けておいた方がいいのかもしれませんね。

なお、「フレックスタイム制」と記載されている場合は、規定の時間以上の労働があれば、どの時間に働いても構わないという制度です。ただし、実情は聞いてみないとわからないので、面接時には必ず確認しておきましょう。

面接時に残業の有無、残業時間数の確認を忘れずに!

 

チェックポイント⑤休日・休暇

業種によって休日はさまざまです。土日が休日でないこともあれば、隔週で1日休みのところもあります。

もっとも注意しなければいけないのは、「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いです。「完全週休2日制」では、週に必ず2日以上の休みがあることを言いますが、月に1週でも週休2日がある場合は、「週休2日制」と記載されます。「完全」がつくとつかないのでは大違いなのでしっかりチェックしておきましょう。

その他の休暇としては、以下のようなものがあります。

(1) 有給休暇
(2) 夏期休暇
(3) 慶弔休暇
(4) 年末年始休暇
(5) リフレッシュ休暇
(6) ホリデー休暇など

有給休暇は、基本的に入社半年以上の社員が対象となります(詳しくは、年次有給休暇を使い切ってから辞めようを参照)。なお、最近は、年間休日数を記載するケースも増えており、「年間休日115日」などと記載されている場合もあります。

「完全週休2日制」と「週休2日制」は意味が異なります!

 

チェックポイント⑥給与

転職時の最大の関心事はなんといっても給与です。いくらやり甲斐のある仕事につけたとしても、評価としてまったく給与に反映されなければ、徐々にやる気も喪失してしまいます。よっぽど仕事を愛している人でなければ、給与は低くても構わないなんていうかたはあまりいないでしょう。

以下は、主な給与の記載例です。

(1) 月給25万~(※経験・能力を考慮の上、話し合いで決定)
(2) 固定給30万円
(3) 固定給 + 歩合給制

求人広告に記載してある給料は、基本的に最低保証金額を示しており、(1) の例でいえば、最低でも月給25万以上は払いますよ、ということを意味しています。ほとんどの場合、「経験・能力を考慮」と記載されており、能力や経験値が高い人は25万円プラスアルファ話し合いで給与が決定されます。

固定給の場合は、元の給与が高く設定されているため、うっかり騙されやすいので注意が必要です。例えば、「固定給30万円」と記載されていたら、残業代を除いて30万円なのか残業代を含めた金額が30万円なのかでは、給与の額が大きく違ってきます。結果的に「月給20万以上残業代全支給」と記載されていた方のが給与が高くなる場合もあります。

また、求人広告には「基本給」が掲載されていることはほとんどありませんが、基本給がいくらなのかを確認しておくことも重要です。というのも、ボーナスを支給される場合、一般的には「基本給の何倍」で計算されるためです。

基本給が低ければ、当然ボーナスも低くなります。これは、IT系ではよく見られる傾向で、「月給25万以上」としながらも基本給は「12万円」で、あとは諸手当分の金額であることはよくある話です。高い学費を払って大学まで卒業して、「基本給12万円」とはあまりにも悲しすぎる話ではありませんか。

会社にだまされないように、面接では基本給もきちんと聞いておく必要があります。

基本給は面接で必ず聞いておくこと!
残業代が支給されるのかどうか聞いておくこと
また、残業代が全支給なのか、定額支給なのかも確認しておこう

 

チェックポイント⑦待遇・福利厚生

待遇・福利厚生も転職する上で重要なポイントです。自分の志望する企業の待遇がどの程度なのか事前にチェックしておくことが大切です。これらがあるとないとでは、もらえる給与の額にも大きな差が生じてきます。

以下は主なチェックポイントです。自分が志望する求人広告の「待遇・福利厚生」欄に、どの程度まで記載されているかを確認しておきましょう。求人広告で不明な点については、面接時に必ず問い合わせましょう。

(1) 昇給(年に○回)
(2) 賞与
(3) 交通費支給額(全支給 もしくは 月○万円まで)
(4) 社会保険制度
(5) 退職金制度
(6) 住宅手当
(7) 家族手当
(8) 資格手当
(9) 役職手当など

待遇・福利厚生で給与の額も変わってきます!

 

チェックポイント⑧応募方法

応募方法も会社によってさまざまです。新聞・求人情報誌とインターネット求人では、その性格上、応募方法も当然異なります。それぞれ各会社の求人広告に記載されている応募方法に従いましょう。

以下は、応募方法の一例です。

(1) 電話連絡の上、履歴書持参で来社
(2) 履歴書の郵送後、追って面接日時を連絡
(3) エントリーを送信後、追って面接日時を連絡(インターネットの場合)
(4) 電子メールによる直接の応募

電話連絡の場合は、電話応対のマナーに注意しましょう。また、忙しい時間帯の電話はなるべく避け、電話連絡の前に、話す内容や質問事項をきっちりとまとめておきましょう。