上手な退職・下手な退職

産休時の出産手当金はかなりお得

出産手当金とは、健康保険の被保険者が出産のために会社を休み(産休)、その間の給料が事業主から支払われないときに受けられる手当のことです。

支給対象期間は、出産予定日の42日前から出産後の56日後まで、計98日分です。また、出産予定日よりも出産が遅れた場合は、プラスアルファで遅れた日数分+98日分を受給することができますので、かなりお得な給付金といえます。

 
 

この給付金には税金はかからず、申請は2年以内に行わなければ無効となります。逆に、2年以内であれば申請する事ができるので、出産が落ち着いてから受給することもできます。

出産手当金の支給額は、産休前にもらっていた給料の60%に相当する金額です。仮に、産休前6ヶ月間の賃金日額を8000円とした場合、最低でも98日間で470,400円は働かずしてもらえる計算になります。

8,000円 x 60% = 4800円
4,800円 x 98日分 = 470,400円

 

退職後に出産手当金をもらおう ― 計画出産

出産手当金は、退職後であっても一定の要件を満たせば、もらうことができます。

受給要件として、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あることが必要です。これは、継続して1年以上あればいいので、前の会社の分を合算して計算する事ができます。もうひとつは、退職後、6ヶ月以内に出産している必要があります。

①健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
②退職後、6ヶ月以内に出産したこと

ここでよく考えなければいけないのは、退職後、半年以内に子供を産むことができるかどうかです。法律とは融通が利かないもので、出産が予定日より遅れてしまい、退職してから6ヶ月の期間内に生むことができなかったら、出産手当金はもう受けることができなくなってしまいます。

このような事態を避けるため、出産時期と退社時期は前々から事前に計画しておくようにします。だいたい、余裕をみて出産予定日の4~5ヶ月前に退職するのがよいでしょう。

なお、注意点として、出産手当金は会社勤めの女性のための特権的な制度であるため、国民健康保険には「出産手当金」のような制度はありません。ただし、国民健康保険加入者でも、以下で説明する「出産育児一時金」を受給することはできます。

もしも途中で計画出産に失敗したと気づいた場合は、健康保険の任意継続被保険者となることで、出産手当金がもらえるという奥の手もあります。どういうことかというと、健康保険を任意継続すると現役の会社員扱いとされます。つまり、健康保険の任意継続の資格(最大2年間)が喪失してから6ヶ月以内までに出産すれば、出産手当金をもらえることになるのです。

 

出産して出産育児一時金をもらおう

出産育児一時金とは、子供を出産すると健康保険や国民健康保険からもらえる一時金のことで、健保か国保に加入している人であれば誰でももらうことができます。

健康保険上の出産とは、「妊娠4ヶ月以上」の出産のことを指します。妊娠4ヶ月以上であれば、早産、死産、流産、人工妊娠中絶等を問わず、一時金を受けることができます。

健診費、分娩費などの出産費用は原則、保険が適用されませんが、帝王切開などの異常分娩で出産した場合は、保険を使う事ができるので、出産育児一時金に加え、療養の給付も受けられます。

給付額は、一児につき30万円、双子(多胎出産)の場合であれば60万円もらうことができます。因みに、出産時の分娩・入院費などの平均値は、およそ35万円程度の費用がかかります。2006年10月からは、出産育児一時金が、一児につき35万円になる予定です。

夫婦共働きで2人とも被保険者の場合は、どちらか一方からしかもらうことはできません。

手続きは、「健康保険出産育児一時金申請書」に医師・助産婦などの証明をもらい、組合健康保険の人は「健康保険組合」へ、政府管掌健康保険の人は「社会保険事務所」に請求してください。