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紹介予定派遣で正社員登用を目指そう!

紹介予定派遣とは、派遣先が自社の正社員として直接雇用することを前提として、派遣スタッフを受け入れることができる派遣契約のことです。

派遣の種類には、一般労働者派遣と特定労働者派遣という派遣スタイルがあることは、2種類ある!?「登録型」と「常用型」で説明しました。そして、もうひとつ付け加えることができるのが、ここで紹介する直接雇用を前提とした紹介予定派遣というわけです。

 
 

紹介予定派遣は、2000年12月からスタートした制度で、英語で言えば、「テンプ・トゥ・パーム」、つまり、「Temporary(一時的)からPermanent(永久的に)へ」という意味を表しています。

厚生労働省の調べによると、派遣社員で働くひとの多くが、「いつかは正社員として働きたい」と希望している結果からもわかるように、「就職先が見つからなかった」「就職先が見つかるまでのつなぎとして」という消極的な選択肢として派遣を選んでいるひとも少なくないのです。

紹介予定派遣制度は、このように正社員を希望する人にとっては願ってもない制度なのです。

紹介予定派遣のメリット - 雇用のミスマッチが防げる
紹介予定派遣のデメリット - 直接雇用を保証するものではない -
紹介予定派遣の派遣期間は最長6ヶ月
改正労働者派遣法によって定義された「紹介予定派遣」

 

■紹介予定派遣のメリット - 雇用のミスマッチが防げる -

紹介予定派遣は、正社員を希望する派遣スタッフにとって非常にありがたい制度であることは上述した通りですが、さらにもうひとつのメリットとして、派遣先企業側、派遣スタッフ側、両者共に受けられる「雇用のミスマッチ」が防げるという点が挙げられます。

紹介予定派遣は、契約期間満了時、またはその1~2週間前に派遣スタッフが派遣先企業で正社員として勤務することを希望し、派遣先企業もその申請を了承し、正社員として受け入れることを認めれば、晴れてその会社の正社員として就業することができます。

裏を返せば、両者の合意が得られなければ、直接雇用はされないのです。

 

派遣スタッフが、契約満了後に、正社員として働くことを希望しても、派遣先企業が「NO」を突きつければ、正社員になることはできません。逆もまたしかり。派遣先企業が正社員として是非とも働いてほしいと望んだとしても、派遣スタッフが断れば、正社員採用のお話はおじゃんです。

派遣先企業は、派遣スタッフを選ぶ権利があり、派遣スタッフも派遣先企業を選ぶ権利があります。両者は対等の関係にあるのです。派遣先企業からすれば「実際に雇ってみたら使えないやつだった」という雇用リスクを防ぐことができ、派遣スタッフ側からすれば、「自分には合わない」「社内雰囲気が好きなれなかった」などのリスクを回避することができます。

 

■紹介予定派遣のデメリット - 直接雇用を保証するものではない -

紹介予定派遣のデメリットは、直接雇用が保証されているわけではないことにあります。

上記で、派遣スタッフと派遣先企業は、両者ともに選択権があり立場は対等であると述べました。しかし現実は、派遣スタッフが正社員になりたいと希望することが大多数なのに対し、派遣先企業からすれば、雇用するかしないかはその人の実力次第。派遣先企業に「YES」と言わせる仕事ぶりをしなければいけないのです。

また、注意点として、直接雇用の形態が「正社員」なのか「契約社員」なのか、それとも「アルバイト」なのか、その辺りも事前にしっかりと確認しておかなければなりません。法律上は、「直接雇用」であれば問題ないので、「契約社員」や「アルバイト」なども直接雇用に該当してしまうからです。

 

■紹介予定派遣の派遣期間は最長6ヶ月

紹介予定派遣の派遣期間は、最長6ヶ月と決められています。

紹介予定派遣制度が制定された当初は、最長で1年契約であったので、派遣スタッフ側からすれば、「1年も働いて最悪、正社員になれないかもしれない」という不安要素がかなり解消されたと言えるでしょう。

なお、派遣先企業が派遣スタッフを雇い入れない場合は、派遣先企業は派遣スタッフの求めに応じて、その理由を書面にて明示しなければならないことになりました。

 

■改正労働者派遣法によって定義された「紹介予定派遣」

2005年3月に改正される前の労働者派遣法では、紹介予定派遣についての明確な定義づけがなく、一般の派遣と同様に、「派遣先がその派遣スタッフを雇用することを前提として受け入れること」が認められていませんでした。そのため、派遣スタッフの受け入れが終了しないと職業紹介は受けることができませんでした。

しかし、改正労働者派遣法によって、派遣先企業は以下の事項を行えるようになりました。

① 事前面接、履歴書を送付などの「特定行為」
② 派遣スタッフ受け入れ前、あるいは期間中に「求人・求職の意思確認」「労働条件の明示」
③ 派遣スタッフの受け入れ期間中の「採用内定」

なお、派遣先企業が受け入れる雇用スタッフを選べるようになったことから、これまで禁止されていた病院などの医療機関についても、紹介予定派遣ならば受け入れることが可能となりました。