基本手当を受給している人が、所定給付日数が残っているにも関わらず、早期に再就職を決めてしまうと、もらえるはずだった基本手当が再就職をする日の前日で打ち切られてしまいます。その他、待機期間中や給付制限中に再就職をした場合にも失業手当は支給されなくなります。
しかし、これでは早期に再就職をした人が損をする事になるので、早期に再就職を決め、一定の所定給付日数が残っている場合には、「再就職手当」を受けることができます。失業期間を無理に長くするよりも、1日でも早く就職をしたほうが精神衛生上にも良いはずです。
再就職手当を受給できる主な要件を以下に記します。これらは全てクリアしていなければなりません。大前提としてクリアしておかなければならない要件として①の支給残日数が「3分の1以上、かつ45日以上あること」です。例えば、所定給付日数が180日の人は60日以上残っていればOKですが、90日の人は45日以上残っていないと支給されないことになります。
②再就職先の雇用期間が1年を超える事が確実である安定した職業に就いたこと
③離職前の事業主に再び雇用されたものではないこと
④待期期間が終了した後に就職、または事業を開始したものであること
⑤給付制限を受けた場合に、待期期間満了後1ヶ月間については、職業安定所または職業紹介事業者の紹介により就職したものであること(平成15年5月からは民間の職業紹介事業者の紹介でもOKとなりました)
⑥職業安定所に求職の申込みをした日以前に採用が内定したものではない
⑦再就職日以前の3年間に再就職手当、または、常用就職支度金の支給を受けていないこと
⑧再就職手当の申請後すぐに離職していないこと
■再就職時に、失業手当も再就職手当ももらわなかった場合
因みに、再就職時に、失業手当も再就職手当ももらわなかった場合は、次回以降の離職時に、今までの被保険者期間が合算されるので決して損をすることはありません。
離職前の被保険者期間が2年あり、次回の離職が8年後だと仮定した場合、被保険者期間が合算されて10年になります。被保険者期間10年は、失業給付受給期間が長くなる節目となるので、自分が中高年齢になったときに備えて被保険者期間を温存しておくのもひとつの手かもしれません。
再就職手当は、基本手当の支給残日数で決まります。失業給付を受給する際にも、会社を退職した時期を1日ずらしただけでも、所定給付日数に大きな差がでたのと同様に、再就職手当の場合も、再就職をするタイミングが重要となってきます。
まず、以下の計算式を元に再就職手当を計算してみてください。基本手当日額がわからない場合は、失業給付はいくらもらえるの?を参考に予め算出しておいてください。
この時、注意したいのは、再就職手当の基本手当日額の上限が5915円(60歳以上65歳未満は4770円)とさらに低く設定されている点です。つまり、どんなに基本手当日額が高くても、「5915円 x 支給残日数 x 30%」で計算しなければなりません。
身体障害者・知的障害者などの就職が困難な人や、45歳以上の受給資格者で一定の日数に足りないために再就職手当をもらえない人などを対象に、職業安定所の紹介で安定した職業についた場合には、「常用就職支度金」が支給されます。
この常用就職支度金は、支給残日数とは関係なしに、原則1年間の受給期間を過ぎてから就職をした場合でも支給されます。支給要件は、支給残日数以外は、再就職手当の要件とほぼ同じです。再就職手当と異なる点は、再就職手当の「待機の経過後に就職したもの」に対して、「給付制限の期間が経過後に就職したもの」という点が付け加えられています。