上手な退職・下手な退職

子育ては育児休業給付金を利用しよう

出産や子育てのために会社を退職するというのは、もう昔の話です。育児休業法を利用して、退職せずして育児休業をもらいましょう。育児休業法で定める「育児休業」では、自分の子供が満1歳になるまでの間、育児休業の申し出をすれば男女を問わず取得する事ができ、会社はこの申し出に対して断る事ができないようになっています。もし仮に、育児休業を申し出たこと、または育児休業をしたことを理由に解雇する事は法律で禁じられています。

 
 

一度、会社を退職してしまうとせっかく培った能力や経験が活かせなくなり、再就職を志してもいきなり正社員として採用されることが難しくなります。したがって、子育てのために会社を退職するのは大きなリスクを伴うため、利用できる制度はできるだけ利用してしまいましょう。

なお、育児休業中は、労働をしていないので賃金が支払われないのが一般的ですが、雇用保険法では、休業前の所得の一部を補てんしようという趣旨から、「育児休業給付金」を設けています。

以下では、育児休業給付金について説明していきますが、その他にも出産する女性には、健康保険から出る「出産手当金」や健康保険もしくは国民健康保険から出る「出産育児一時金」などの支給も受けられるので、これらをフルに活用しない手はありません!詳しくは、以下のリンクを参考にしてください。

産休時の出産手当金はかなりお得♪

 

育児休業基本給付金の受給資格要件

雇用保険法では、育児休業前の賃金日額の30%が「育児休業給付金」として、自分の子供が満1歳になるまで支給されます。支給されるのは、男女を問いません。育児休業給付金は、育児休業期間中に受けられる「育児休業基本給付金」と、職場復帰後6ヶ月間雇用された場合に支給される「育児休業者職場復帰給付金」の2本立てとなっています。

まず、育児休業基本給付金を受給できる条件は以下のとおりです。

①育児休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること

②育児休業している日が毎月20日以上あること

③育児休業中に賃金の支払いがない、もしくは休業前の賃金の80%未満にダウンしていること

④育児休業の開始時点で、育児休業終了後に離職する事が予定されている者でないこと

ポイントは、最低でも1年間はその会社に勤めていることが給付金を受け取れる条件となります。それをクリアすると、出産後の8週間を過ぎた後から子供が満1歳になるまでの10ヶ月間に渡って育児休暇以前の賃金日額の30%が支給されます。

ただし、病気やケガで引き続き30日以上の賃金の支払いを受けることができなかった場合、その日数を2年に加算する事ができ、最長で4年を限度とします。

注意点として、受給要件③にも書いたように、育児休業基本給付金の支給期間中に、会社から賃金の支払いがある場合で、支払われた賃金が育児休業開始時の賃金月額の60%を超える場合は減額調整され、80%以上のときは支給されなくなります。

なお、育児休業給付金の支給を受けている期間は、健康保険と厚生年金の保険料がまるまる免除されますので、支給額の30%といえども支給額は意外と多く受け取る事ができます。

 

育児休業基本給付金の支給額

育児休業基本給付金の支給額は、賃金日額の30倍の額(みなし賃金月額)に30%を乗じた額です。ここでの賃金日額とは、育児休業前6ヶ月間の賃金総額を180で割った金額になります。

例えば、月額の給料を20万円としたら、育児休業基本給付金は、月額6万円となります。

計算式1: 20万 x 6ヶ月 = 1,200,000円
計算式2: 1,200,000円 ÷ 180 = 6666.6666666666666666666666666667円
計算式3: 6666.6666666666666666666666666667円 x 30 = 200,000円
計算式4: 200,000円 x 30% = 60,000円

 

育児休業職場復帰給付金の受給資格要件と支給額

育児休業者職場復帰給付金は、育児休業終了後、休業前と同じ会社に引き続き6ヶ月以上勤務した場合に支給されます。別の事業主に雇用された場合は支給されないので注意してください。支給額は、賃金日額の30倍の10%相当額に、さらに休業日数(月単位)を乗じた額になります。

賃金日額を1万円、休業日数を10ヶ月としたら、30万円もらえることになります。

計算式1: 1万 x 30= 300,000円
計算式2: 300,000円 x 10% = 30,000円
計算式3: 30,000円 x 10ヶ月 = 300,000円