上手な退職・下手な退職

自己都合退職と会社都合退職の違い

会社の辞め方にもいろいろあり、会社からの一方的な労働契約の解約による「会社都合退職」と、従業員による一方的な労働契約の解約による「自己都合退職」、両者の合意による「合意解約」などがあります。ここでは、「会社都合」で退職した場合と「自己都合」で退職した場合とで、今後の失業生活がどのぐらい違ってくるのかを比較して説明していきます。

結論から先に言うと、雇用保険法上、自己都合で退職するよりも、会社都合で退職した方が有利なシステムになっており、この離職理由によって、失業手当がすぐにもらえるか否か、失業手当の最大受給期間が長くなるか短くなるか、公共職業訓練に入校しやすくなるかそうでないか、などにかかってきます。

 
 

 

以下表は、年齢や雇用保険被保険者期間を全く考慮していない、極めて大雑把な比較表ですが、自己都合と会社都合では、スタートの時点でもすでにこんなにも差があるのです。なお、会社都合については、平成13年4月に施行された改正雇用保険法によって、所定給付日数が優遇される特定受給資格者として明確に規定されています。

  自己都合退職 会社都合退職
給付制限 3ヶ月 なし
最大受給期間 150日 330日

 

 
 

 

■自己都合退職とは

法律では、「自己都合」とか「会社都合」といった言葉で明確に退職者を区別しているわけではなく、ケース別にその措置を定めています。まず、以下に示す「自己都合退職」の場合の雇用保険法33条第1項をみてください。

被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され、または正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合

「自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された者」は、懲戒解雇を指し、労働者が自らの過失や故意によって会社に損害を与えたために会社から解雇を受け渡されたケースのことです。

「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」は、自分の意志で退職を希望したケースを指します。因みに、「懲戒解雇」は、自己都合扱いとなるので注意が必要です。つまり、クビ宣告を受けた場合、3ヶ月間の給付制限が課せられます。

上記の雇用保険法33条第1項に該当する場合、3ヶ月間の失業手当給付制限が課せられ、失業手当を受け取るには、実質4ヶ月も先のことになってしまいます(以下図参照)。なお、失業給付を受給するまでの具体的な流れについては失業給付受給までの流れを参考にしてください。


◎「自己都合」と「会社都合」の場合の失業給付を受給するまでの流れ

◎「自己都合」と「会社都合」の場合の失業給付を受給するまでの流れ

 

■会社都合退職とは

会社都合退職とは、文字通り、会社からの一方的な労働契約の解約により、退職を余儀なくさせられた理由による退職のことで、主に以下のような事例が当てはまります。会社都合退職の場合、やめざるを得ない理由は他にもたくさんあるので、以下に示すものはほんの一部です。

また、ケースによっては、退職後に公共職業安定所で事情説明が必要となります。その際、証拠があると会社都合扱いにしてもらいやすくなるので、会社を退職する前には予め証拠作りをしておきましょう。早い話が、「退職するだけの正当な理由がある」ことを証明できれば会社都合扱いとなり、特定受給資格者としての恩恵を受けられる事になるのです。

①会社の倒産が確実になった場合
②何の落ち度もなく一方的に解雇された
③著しく低く減棒された
④採用条件と実際の労働条件が違うとき
⑤通勤困難な場所へ移転しなければならなくなったとき
⑥勤務時間の延長が著しいとき
⑦故意に排斥、冷遇された場合
⑧事業所の移転・廃止など
⑨退職勧奨・希望退職に応じた場合
⑩正規の賃金が支払われない・遅配したとき
⑪事業主が法律違反を犯したとき
⑫親族の死亡、疾病、負傷などの家庭的事情があるとき
⑬結婚、妊娠、出産もしくは育児のために退職した場合
⑭交通機関の廃止で通勤が困難になった場合
・・・

次に、会社都合の場合の給付制限ですが、会社都合の場合は、給付制限が一切つきません。といっても、退職してからすぐに失業手当が支給されるわけではなく、最低でも1ヶ月後からの支給となっています。詳しくは、失業給付受給までの流れを参考にしてください。

また、失業給付の受給期間も、自己都合退職の場合と比較してその期間も長くなっていますが、年齢と雇用保険の被保険者期間も関係してくるので、一概に、会社都合退職の方が受給期間が長くなるというわけではありません。詳しくは、失業手当の受給期間を参考にしてください。