上手な退職・下手な退職

失業給付の受給資格要件

失業給付とは、「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4種類があり、主に失業した労働者の生活の安定を図るための「求職者給付」が中心となっており、「会社をやめて失業給付をもらう」「失業保険をもらう」「失業手当をもらう」というのは、求職者給付のうちの基本手当を受け取る事を意味しています。

基本手当は、退職金と同様、退職したからといって誰でももらえるわけではなく、いくつかの条件を満たしている必要があります。その主な条件として、以下の3点があります。

 
 

 

◎失業給付を受給するための資格要件

(1) 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること
(2) 失業の状態にあること
(3) 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをしていること

(1) 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること

まず、大前提として、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上なければ、いくら「失業の状態」にあったとしても、失業給付を受給することはできません。もっと具体的に言えば、離職日以前の1年間に、賃金支払いの基礎となった日数が1ヶ月に14日以上ある月が通算して6ヶ月以上(週30時間未満の短期間労働被保険者の場合は、離職日以前の2年間に1年以上)あることが必要となります。

つまり、雇用保険に加入していて、かつ被保険者期間が6ヶ月以上あれば、無条件にクリアする事になります。また、離職する会社に6ヶ月以上勤めていなくても、離職日以前1年以内に勤めていた会社と合算して、被保険者期間が6ヶ月以上ある場合は、失業給付を受給することができます。但し、前職を離職した際に、基本手当を受給していないことが前提となります。

例外として、離職日以前の1年間に病気やケガ、出産、会社の休業、外国勤務などの理由で、引き続き、30日以上の賃金支払いを受けることができなかった場合は、その日数を1年間に加算した期間で計算する事ができます。

 
 

 

(2) 失業の状態にあること

次に、職業公共安定所で「失業の状態」であることを認められなければなりません。失業の状態とは、雇用保険法上で以下のように定義されています。

離職し、労働の意思および能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態

つまり、働きたいという積極的な意思表示と、すぐにでも働ける状態(能力)にあることが求められます。この時、病気やケガ、出産などですぐに働ける状態にない場合は、失業給付を受けられません(詳しくは、病気やケガの場合の傷病手当を参照)。また、会社勤めに疲れたからしばらく休養しようと考えている場合も当然、失業の状態とは認められません。その他、結婚して家事に専念する場合や、自営業を始める場合も認められません。

 

(3) 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをしていること

上記で説明したとおり、「失業の状態」にあることを証明するためには、「働く意思」を示さなければなりません。その働く意志を示すためにはどうすればいいのでしょうか?そうです、職安にある「求職票」に求職の申込みをして、働く意思を示す必要があるのです。

 

以上、3つの条件をクリアできれば、失業給付受給資格要件を満たすことができます。あとは、ハローワークで求職票の申込み手続きをするだけです。詳しくは、ハローワークでの手続きの流れを参考にしてください。

 

失業給付を受けられないケース

それでは、受給資格要件を満たせないケースにどのようなものがあるのか以下に列挙します。このうち、①、②、③、⑩については、基本手当の受給期間を延長する事ができます。例えば、病気やケガなどで働けない期間が50日あったとしたら、受給期間満了日がきても、その後、さらに50日間分、受給期間を延長する事ができます(詳しくは、病気やケガの場合の傷病手当を参照)。

①病気やケガですぐに働けないとき
②妊娠、出産、育児などですぐに働けないとき
③定年退職後、しばらく静養するとき
④家事に専念するとき
⑤学業に専念するとき
⑥就職が内定していて、就職活動をしないとき
⑦準備も含め、自営業の準備をはじめたとき
⑧家事、家業などの手伝いで就職ができないとき
⑨会社・団体などの役員に就任していたとき
⑩病人の介護ですぐに働けないとき