結論から先にいえば、派遣社員でも有給休暇は取れます。
条件は、一般の正社員などと同様に、労働基準法で定められた一定の条件を満たした場合に有給休暇が発生します。その条件とは、年次有給休暇を使い切ってから辞めようでも説明していますが、以下のとおりになります。
①6ヶ月以上継続勤務すること
②所定労働日の8割以上出勤すること
例えば、週に5日以上勤務が半年間続けば、10日間の有給休暇が与えられ、以後、1年を経過するごとに1日づつ増加していき、最大で20日まで有給休暇を取得することができます。詳しくは以下表を参照してください。
■有給休暇の発生要件勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月 |
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給付日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
派遣社員は正社員などと違って、派遣先企業が何ヶ月かおき、もしくは何年かおきに変わります。この時、有給休暇の発生要件は、どのようになるのでしょうか。
例えば、派遣先A社に3ヶ月勤め、1ヶ月の待機期間を挟み、派遣先B社に2ヶ月働いた場合、合計6ヶ月間、同じ派遣会社の元で働いたことになりますので、有給休暇が発生します。待機期間は、1ヶ月程度ならば、継続して働いたとみなされるケースが多いようです。
では、派遣先A社に3ヶ月勤め、その後、Cという異なる派遣会社に紹介された派遣先Dで3ヶ月働いた場合はどうなるのでしょうか。この場合、派遣会社が変わってしまったので、6ヶ月以上働いたとはみなされず、有給休暇は発生しません。その理由も、有給休暇をもらうのは派遣会社からであるためです。
つまり、有給休暇をもらうためには、同じ派遣会社の元で6ヶ月以上働いている必要があるのです。
有給休暇は、いつ、どのような目的で使おうとも、それは労働者の自由であり、干渉されるところではありません。原則的には、有給休暇をとる前日までに派遣会社にもうしでればいいことになっています。
極端な話、海外旅行にいきたいならまとめて10日間休むことが可能なわけです。正社員ならば、クビになってもいい覚悟でもなければこんな大それたことは言えませんが、派遣社員ならば、気軽にこんなことも言えそうです。
しかし、実際は違います(笑)。派遣先企業で働いていると、有給休暇が極めてとりずらい雰囲気が漂っています。特に、自分なしでは業務全体が先に進まない場合などはさらにやっかいです。いくら、10日ぐらい前から有給休暇を申請していたとしても、迂闊に休むこともできません。
派遣スタッフが有給休暇をとる場合、派遣会社と派遣先会社の両者にその報告を伝えなければなりません。特に派遣先は、人手が足りないから派遣社員を求めているわけなのに、派遣社員に3日も4日もまとめて休まれると困ってしまうのです。結果的に「え~○○さん、それはちょっと待ってくれよ」と引き止められてしまうのです。
なお、派遣先に直属の部下もしくは上司と一緒に派遣されていた場合は、上司や部下に負担がのしかかります(笑)。キライな上司ならそれでも構いませんが、良い上司だったりするとなおさら休みづらいものです。
なので、まとまった休みをとろうと考えている方は10日前~1ヶ月前あたりから事前に派遣会社と派遣先企業、双方に対してその旨を伝えておくようにしましょう。そうすれば、派遣会社側も、新たな派遣スタッフをその期間だけ派遣するという対策を講じることもできるわけですから。
でも、結局は、「そこまでして休むのは面倒だ…」ということになって、有給休暇を使わずに終わってしまうことが多いのも事実なんですけどね。