年金のみで生活している場合でも収入が多ければ原則として税金がかかります。ただし、税金のかかる年金と、かかならない年金があり、例えば、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金には所得税や住民税などの税金がかかり、障害年金や遺族年金などには税金はかかりません。税金がかかる年金として以下のものが該当します。
(1) 老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金など
(2) 恩給法による恩給
(3) 厚生年金基金など
(4) 適格退職年金契約により支給される退職年金など
■年金にかかる税額
年金所得は、雑所得に区分され、総合課税方式で課税されますが、負担する税額については給与所得者に比べると年金の控除額が大きく設定されています。その中でも、公的年金等控除は、年金を受給する人全てに適用される控除で、65歳以上の人なら120万円、65歳未満の人なら70万円が控除されます(以下表参照)。
課税対象額 = 年金収入 - 公的年金等控除 - 各種所得控除
各種所得控除には、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、社会保険料控除、医療費控除などがあり、それらの控除額も年金収入から差し引いた額が課税対象額となります。
一定額以上の公的年金を受け取る場合は、給与と同じように源泉徴収が行われます。一定額とは、65歳未満は年間108万円以上、65歳以上は年間158万円以上です。差し引かれる源泉徴収額は、年金支給額から基礎的控除額と人的控除額をマイナスした額に原則10%の税率を掛けた額になります。
※さらにここから、定率減税として所得税額の10%相当が差し引かれます。
ただし、上記の基礎的控除額と人的控除額が控除が受けられるのは、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」という書類を提出した場合に限ります。もし、提出していない場合は、公的年金等の支給額25%が控除額とされます。
この書類は、年金を請求するときに提出する「裁定請求書」についており、これを提出しておけば最初から控除を受けることができます。翌年以降は、控除の内容の変更があるかどうかについて申告書が11月頃に送られてきます。これを提出しておけば、翌年2月からの年金も源泉徴収が行われます。
なお、年金受給額が65歳未満の人で108万円未満、65歳以上の人で158万円未満ならば、申告書の提出は必要なく、源泉徴収されることもありません。また、年の途中から年金を受け取る場合は、12月までにそれぞれの金額に達しなければ源泉徴収はされません。