上手な退職・下手な退職

会社が雇用保険に未加入だったら?

雇用保険は、労働者が失業したときの生活保障のために、あらかじめ会社が掛けておく保険であり、保険料は会社(事業主)と労働者の折半で支払っています。

会社の中には、保険料の負担分を支払うことを嫌い、雇用保険に未加入であるケースが多くあります。自分が雇用保険に加入しているかどうかがわからない方は、給与明細などで雇用保険料が差し引かれているかどうかを確認してみてください。

雇用保険への加入は、たとえ会社側が加入を嫌っていたとしても、法律上、業種・規模等を問わず、全ての事業所は強制加入となっています。つまり、加入していなければ法律違反なのです。

ただし、採用時に65歳以上の人や1週間の所定労働時間が20時間未満のパートタイマーは雇用保険に加入することはできません。

 
 

■雇用保険未加入時の救済措置

では、自分は雇用保険に加入していたつもりでも、いざ自分が退職する段階になったら、実は雇用保険に加入していなかった!なんていう事態になったら失業手当は1円ももらえなくなってしまうのでしょうか?

結論からいえば、このような会社の不法行為によって労働者が不利益をこうむらないように救済措置が用意されています。その措置の内容は、「雇用保険は過去にさかのぼって加入することができる」というものです。

未加入であるとわかったら直ちに、雇用契約書や給与明細、源泉徴収票、健康保険証などの雇用されていた事実を証明する書類を持参し、住所地を管轄するハローワークに文書、または口頭で申し出ましょう。

ハローワークは申し出を受けたら、事実関係を調査した上で、その事業所に対して雇用保険へ加入手続きを行うように指導します。これにより、その期間中の保険料が収められれば、めでたく失業手当を受給することができるようになります。

ただし、さかのぼれる期間は最長2年間です。たとえ、20年間その会社で勤続していたとしても、勤続2年で退職する人と同じ被保険者期間にしかなりません。

つまり、普通に雇用保険に加入していて、自己都合退職であれば120日間の失業手当を受給することができたのに、実際には90日分しか受給することができなくなってしまうのです(「失業給付の受給期間」を参照)。また、届け出たタイミングによっては、実際に働いていた期間よりも短い加入期間となってしまうこともあります。

これにより社員が受ける損害分については、会社とよく話し合ってみましょう。法的には、損害賠償請求をすることもできます。