「派遣社員は雇用保険に入れるの?」で派遣社員も雇用保険に入れることを説明しました。雇用保険に加入できるということは、派遣社員も失業給付を受給することができるということです。
受給資格要件は、以下の3点です。詳しくは、「失業給付の受給資格要件」で説明していますのでそちらを参照してください。また、受給手続きに必要となる書類などは、「ハローワークでの手続きの流れ」で説明しています。
(1) 離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること
(2) 失業の状態にあること
(3) 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをしていること
■派遣社員は雇用保険の加入期間が大事になる!
「派遣社員は雇用保険に入れるの?」では、派遣元との雇用契約時にすぐにでも雇用保険に加入した方が良いと説明しました。派遣会社は、実働2ヶ月からの雇用保険の加入をすすめるケースが多いのですが、派遣スタッフ側からすれば、雇用保険はすぐにでも加入したいものです。
その理由として、同じ派遣元で6ヶ月以上働くとは限らないからです。例えば、派遣元に登録してから最初の派遣契約の期間が6ヶ月であると仮定します。そして、実働2ヵ月後に雇用保険に加入したとします。
6ヶ月の派遣契約が無事に終了し、さぁ失業手当をもらおうと思っても、この時点では失業給付の受給資格要件を満たすことができません。当然ですね、実働こそ6ヶ月ですが、雇用保険の被保険者期間は4ヶ月になるからです。
もし、派遣会社が最初の雇用契約時に雇用保険に加入してくれれば、失業給付を受けることができたのです。このように加入期間が条件に満たないために失業給付を受けられないケースも少なくないので、雇用保険にはできるだけ早いうちに加入するようにしましょう。
派遣スタッフが契約期間満了日で派遣元を退職する場合、「会社都合扱いとなるから給付制限を待たずにすぐにでも失業給付を受けられる」と考えがちですが、必ずしもそうではありません。契約期間満了後の状況次第では、自己都合扱いになるし、会社都合扱いにもなります。
これは、ハローワークの裁量に委ねられる部分も大きいので確実なことはいえないのですが、ハローワークの運用としては、派遣先との関係が切れても、すぐに次の派遣先が見つかる場合があるとして、簡単に「失業状態」を認めないようにしています。
それでは、どのような場合に会社都合扱いとなり、自己都合扱いとなるのでしょうか。以下では、ハローワークが会社都合とみなすケース、自己都合とみなす一般的なケースを挙げてみます。
■ハローワークが会社都合であるとみなす場合
(1) 派遣会社が倒産した場合
(2) 派遣会社から解雇された場合
(3) 契約期間満了後、就労の意思があったにも関わらず、1ヶ月以上次の仕事の紹介がこなかった場合
会社都合の場合は簡単です。派遣スタッフが就労したいという意思があったにも関わらず仕事に就くことができなかった場合に会社都合扱いとなり、3ヶ月の給付制限は課されずに、すぐに失業給付を受給することができます。
■ハローワークが自己都合であるとみなす場合
(1) 契約更新の機会があったにも関わらず、本人都合で契約更新を行わなかった場合
(2) 契約期間終了後、1ヶ月以内に離職票を請求した場合
(3) 派遣契約終了後、1ヶ月以内に来た紹介を断った場合
以上をまとめると、失業給付を受給するために大事なことは、「就職する意思および能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態」になければならないということです。なので、例え契約期間満了で退職したとしても、契約更新を行わなかったり、仕事の紹介を断ったりすれば、自己都合扱いとなるのです。
なお、契約期間満了後、1ヶ月以内に離職表を請求した場合も自己都合扱いとなります。次の仕事の紹介があるかもしれないのに、早々と離職表を請求したことで「働く意志がない」とみなされてしまうためです。なので、会社都合扱いにする場合には、最低でも1ヶ月は派遣会社からの紹介待ちをしていなければなりません。
いずれにしろ、契約期間満了で退職する場合、それを自己都合と判断するか会社都合と判断するかは全てハローワークの裁量に委ねられています。上記で説明した説明が地域によっては全くあてはまらない場合もありえます。どういう判断が下されるかは、あなたの住所地を管轄するハローワークに問い合わせてみるのが1番正確でしょう。