上手な退職・下手な退職

国民健康保険の特徴

会社を退職後、健康保険を任意継続しない人や、すぐに再就職をしない人は国民健康保険に加入しなければなりません。一部負担金は、一律3割負担です。国民健康保険は、健康保険のような「被扶養者」という概念はなく、本人と扶養家族の各人それぞれが被保険者となります。

ただし、加入や保険料納付の際には、世帯単位で計算され、加入手続きは世帯主がまとめて行います。保険証は、1世帯に人数分が交付されることになります。

 
 

 

■国民健康保険への加入手続き

国民健康保険への加入手続きは、離職した翌日から起算して14日以内に住所地の市区町村役場で行います。その際、健康保険の資格を喪失したことを証明する「被保険者資格喪失証明書」(←会社が発行します)を添付する必要があります。

加入手続きが何ヶ月も遅れた場合は、保険料は退職した月分(月末退職の場合は翌月分)から納めなければなりません。また、加入手続きを遅らせたとしても、2年以内ならば、一般の国民健康保険では退職した翌日から、退職者医療制度では年金の受給権が発生した日にさかのぼって保険料を支払う必要があります。

国民健康保険に加入後、再就職をした場合には、再就職先の健康保険に加入後、市区町村役場にその旨を届け出ます。

 

国民健康保険の保険料の計算方法

国民健康保険は、市区町村が運営しているため、それぞれの財政事情によって保険料にもばらつきがあります。収入が同じでもその人の住んでいる市区町村によってその金額は大きく異なり、最高と最低では約10倍の差が生じます。45歳以上65歳未満の人は国民健康保険料に加えて、介護保険料も合わせて納付します。

また、国民健康保険の保険料は、前年の所得に対して課税されるため、国民健康保険に加入した年の保険料は、一般的にかなり高くなります。その場合は、健康保険の任意継続を利用した方が安くなる場合があります(健康保険の任意継続のメリットを参考)。

 

■国民健康保険の賦課方式

保険料の賦課方式は、住所地の市区町村によって異なります。ほとんどの市区町村は、「所得割」「資産割」「均等割」「平等割」の4方式をとっていますが、大都市部では、資産割を課さない3方式をとっているところや、東京都のように平等割も課さずに2方式をとっているところもあります。

国民健康保険の賦課方式

国民健康保険料の上限額は、全国共通で年額53万円になっていますが、市区町村によってはこの額より低く設定しているところもあります。年収が650万以上ならば、保険料は上限額の53万円となってしまいます。定年退職者は、定年時の給与が高い場合は、最初の1年間は健康保険の任意継続被保険者を選択するのが一般的です。

自分の保険料がいくらになるかは、住所地の市区町村の国民健康保険の担当窓口に電話で問い合わせれば教えてくれます。

 

国民健康保険で受けられる給付の種類

国民健康保険で受けられる給付の種類には以下のようなものがあります。各市区町村によって、支給を受けられるものとそうでないものとがあるので、自分が住んでいる市区町村のホームページでどのような給付が受けられるのか確認しておきましょう。

(1) 療養費
(2) 移送費
(3) 入院時食事療養費
(4) 高額療養費
(5) 出産育児一時金
(6) 葬祭費
(7) 療養の給付(病気やケガをしたとき)
(8) 特別療養費
(9) 特定療養費


医療費の払い戻し

国民健康保険への加入手続きを済ませていなかったり、保険証を持たずに病院などで診療を受けたりした場合、医療費を全額自己負担しなければなりません。

しかし、その時は全額自己負担しても、後に申請手続きを行えば、治療費の7割ないしは8割の医療費が払い戻されます。申請時には、以下のものが必要となります。

(1) 国民健康保険証
(2) 印鑑
(3) 医療費、薬剤費の領収書
(4) 預金手帳