上手な退職・下手な退職

退職後は国民年金に加入しよう

国民年金は、国が運営しており、日本に在住する20歳以上60歳未満の人たちは強制加入が基本です(国民皆年金)。日本に在住していれば法律上、自動加入する事になるので保険料を納付する義務が発生し、加入する・しないの選択権は個人にはありません。

しかし、人によっては「え?そんなの入ってないよ」と思う方もいるかもしれません。ですが、国民年金は自動加入されるものなので、実際は保険料を滞納している状態になっているだけです。会社で働くサラリーマンの場合は、必ず厚生年金に加入しなければならず、厚生年金に加入するという事は同時に国民年金にも加入する事になり、保険料も払う事になります。

 
 

では、会社を退職した場合はどうなるのでしょうか。会社を退職するとその翌日から厚生年金とも無縁になり、加入していた国民年金の種別も変更しなければなりません。

国民年金には以下のようにいくつかの種別にわかれており、会社に勤務している20歳以上の人は国民年金の「第2号被保険者」となり、満60歳になる前に会社を退職すると、国民年金の第1号被保険者に変更となり、種別変更の必要がでてきます。

 

■国民年金加入者の種別

■自営業者・自営業者の妻、学生、無職
→国民年金第1号被保険者

■民間のサラリーマン、OL
→国民年金第2号被保険者、かつ厚生年金に加入

■公務員、私立学校の教職員
→国民年金第2号被保険者、かつ共済年金に加入

■民間のサラリーマンや公務員等の配偶者
→国民年金第3号被保険者

■上記のいずれにも該当しない人
→国民年金第1号被保険者

 

再就職日までに1ヶ月以上の空白があれば種別の変更は必須

退職後、すぐに再就職先が決まっている場合でも、前の会社の離職日から1ヶ月のブランク期間(つまり、1ヶ月の保険料滞納期間)があるならば、国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者への切り替えをするべきです。

その理由として、もし仮にあなたが突然の交通事故によって車椅子生活を余儀なくさせられとしたら、障害基礎年金がもらえなくなってしまう可能性もあるからです。年金は、老後にもらう老齢年金だけではなく、病気やケガが原因で障害が残り、働けなくなった場合に支給される障害基礎年金と呼ばれる年金があります。厚生年金の加入者には、加えて障害厚生年金が上積みされて支給されます。

問題はここからです。障害年金を受け取るためには、保険料納付要件があり、保険料を空白なく支払ってきた人(保険料免除・学生納付特例の人も含む)は問題ありません。しかし、未届け者や保険料滞納者は、その病気やケガの前日において、初診日の月の前々月までの期間のうち、保険料納付済期間が3分の2以上なければなりません。

障害年金の支給要件

わかりやすく言えば、事故を起こして病院で初診してもらった日の2ヶ月前より以前の期間で、滞納期間が3分の1を超えていない事が支給の条件となります。

この条件でいくと、年金などあてにできないと長い間、国民年金を滞納してきた人にとってはどうせもらえないんだから1ヶ月の滞納ぐらいどうでもいいやと考えてしまいがちですが、この保険料納付要件には特例が設けられています。その特例とは、平成28年3月31日までに初診日がある場合には、初診日の前日における初診日の属する月の2ヶ月前までの1年間に、保険料の滞納期間がなければ障害給付が受けられるというものです。

保険料納付要件の特例

つまり、滞納期間の多い人が、直前の1年間に1ヶ月でも滞納期間があると、この特例納付要件を満たす事ができず、障害年金が支給されなくなってしまうこともあるのです。