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はけんけんぽ(人材派遣健康保険組合)ってなぁに?

はけんけんぽ(人材派遣健康組合)とは、社会保険加入問題の解決のために、(社)人材派遣協会を中心として発足した派遣社員のための総合健康保険組合です。

派遣社員は社会保険に入れるの?でも述べたように、一般労働者派遣の場合、派遣契約が切れた段階で、健康保険から国民健康保険に切り替えなければなりませんでした。

 
 

派遣スタッフは、契約が切れるたびに健康保険の加入と喪失を繰り返す必要があり、この切り替え作業が面倒で健康保険に加入せず、国民健康保険に加入しつづけている人も少なくありません。また、社会保険料負担を少しでも軽くしようとする派遣会社も増大し、社会保険の加入要件を満たない契約に抑える傾向まででてきたのです。

これは、健康保険が派遣社員を前提としてつくられたものではないことに原因があり、派遣という「就業条件がまちまちである」働き方を選んだ以上は、避けられないところでした。

この問題を解消するために登場したのが、派遣スタッフの働き方に沿った人材派遣健康組合というわけです。2000年5月に設立され、2005年3月時点で305事業所約41万人が加入しています。

(1) はけんけんぽの4つの特徴
(2) 全ての会社が加入しているわけではない

 

はけんけんぽの4つの特徴

はけんけんぽには以下の4つの特徴があります。

(1) カード型保険証を採用

はけんけんぽでは、健康保険証を定期券と同じサイズのカード型にすることで、財布の中に入れて いつでも持ち歩くことができるようになりました。また、カードは健康保険の被保険者だけではなく、被扶養者にも1枚ずつ交付されますので、利便性が高まります。

 

(2) 同一派遣元との使用関係の継続が認められる場合がある

派遣契約が切れると派遣スタッフは国民健康保険に切り替えなければなりませんでしたが、一定の条件を満たす場合に限っては、健康保険の資格を喪失せず、継続して被保険者になることができるようになりました。その条件は、以下のとおりです。

・同じ派遣元で、登録型の派遣社員として働くこと
・契約終了時に、次の仕事(1ヵ月以上の契約)が確実に見込まれていること
・次の契約が1ヵ月以内に開始されること

なお、「確実に見込まれる」とは、契約終了時点で次の契約が締結されているか、契約することが決まっている状態をいいます。

 

(3) 任意継続制度に特例期間を設置

はけんけんぽに継続して2ヶ月以上加入している場合、(2) で述べた同一派遣元との「使用関係の継続」がなくても、被保険者本人に申請により、健康保険を任意継続することができます(最長2年間)。

■任意継続時の保険料が2ヵ月間安くなる!

健康保険を任意継続した場合、原則として保険料は全額自己負担になります。これは、正社員などが加入する一般の健康保険の場合も、はけんけんぽの場合も同じですが、はけんけんぽの場合は2ヶ月間の特例期間に限っては、保険料の上限を7,950円に定めています(平成18年度)。

特例期間とは、任意継続した月とその翌月の2ヶ月間のことです。

そしてさらに嬉しいことに、3ヵ月目以降の保険料も、上限が12,720円に抑えられているため、保険料が割安となっています(平成18年度)。

 

■任意継続の受付期間は20日以内

はけんけんぽの任意継続の受付期間は、派遣契約終了時(仕事終了時)の翌日から20日以内に手続きを行います。ただし、契約終了日があらかじめ決まっている場合は、1ヵ月前から受付しています。

 

(4) IT活用の敏速安全な運営システム

はけんけんぽは、健康保険組合初のWebによる届出システムを導入し、徹底した効率化を図っています。また、iKeyによる個人データ保護システムにより、個人情報は安全に保護されます。

 

全ての会社が加入しているわけではない

上記でみてきたとおり、はけんけんぽは、派遣社員にとってはメリットの多い健康保険ですが、注意したいのは、全ての会社がはけんけんぽに加入しているわけではないということです。

一般的に大手企業や企業系列の人材派遣会社では、はけんけんぽに加入していることがほとんどですが、中小企業などの場合は加入していないこともあるので、予め、はけんけんぽに加入しているかどうかを確認しておく必要があるでしょう。

加入している会社を調べるには、はけんけんぽホームページの加入事業者検索のページでご確認ください。

はけんけんぽホームページ  加入事業所サーチ

大手・中堅派遣会社のスタッフサービスアデコ株式会社インテリジェンステンプスタッフヒューマントラスト日本マンパワー関西などは、はけんけんぽに加入しています。

 

■リクルートスタッフィングの健康保険はお得

なお、派遣会社大手の株式会社リクルートスタッフィングの場合は、リクルート健康組合に加入することができ、個人負担の健康保険料率は2.30%と断然お得な保険料となっています・リクルートスタッフィング調べによると、時給1400円・1日8時間・月20日働いた場合で、年間約47000円も安くなります。

・政府管掌の健康保険(4.10%)
・はけんけんぽ(人材派遣健康保険)(2.65%)
・リクルート健康保険(2.30%)

このように、大手派遣会社の場合は、独自の健康保険を持っていることもあるので、健康保険がどうなっているのかを確認するのも派遣会社選びのひとつのポイントとなるかもしれませんね。