上手な退職・下手な退職

病気やケガの場合の傷病手当

雇用保険法では、「働く意志と能力がある」ことを失業給付の支給要件としているため、病気やケガのために働く事ができなくなったり、退職後も静養したりする場合には、その条件を満たせなくなるので基本手当は支給されません。

しかしながら、求職の申込み後に、15日以上継続して働けなくなった場合には、基本手当に代わって「傷病手当」が支給されることになります。

ただし、傷病手当は、7日間の待機期間中や給付制限を受けている場合には、基本手当と同様に、支給されません。また、「基本手当の支給残り日数」=「傷病手当の給付日数」となり、傷病手当だからといって余計に所定給付日数が伸びる事はありません。要するに、呼び名が変わっただけで基本手当とその扱いは一緒です。

傷病手当の支給を受けるには、「傷病手当支給申請書」と医師の「傷病証明書」に「受給資格者証」を添えて、病気やケガが治った後の最初の失業認定日までに公共職業安定所(ハローワーク)に提出する必要があります。

 
 

 

最長4年まで受給期間を延長できる!

基本手当の受給は、原則として1年以内と決められていますが、病気やケガが治るまでに30日以上かかる場合は、傷病手当を受給する代わりに、その日数分だけ受給期間を延長する事ができ、最長4年までの延長が認められています。ようするに、「傷病手当を受給」するか、それとも「基本手当の受給期間を延長する」か、どちらか一方を選択することになります。

例えば、病気やケガで基本手当がもらえなかった日数が30日以上あれば、その日数に1年を加えた期間(つまり、1年30日後)までが基本手当受給期間になるのです。

なお、受給期間の延長は、病気やケガの場合以外にも以下のような場合にも認められています。

1. 妊娠・出産
2. 3歳未満の乳幼児の育児
3. 6親等以内の血族および配偶者と3親等以内の姻族の看護
4. 海外勤務する配偶者に同行する場合
5. 青年海外協力隊など公的機関が行う海外技術指導による海外派遣

受給期間を延長する場合は、働けない状態が30日以上続いた後、1ヶ月以内に職安へ「受給期間延長申請書」と「受給資格者証(または離職票)」、延長理由を証明する事ができる書類を提出します。

なお、定年退職後、しばらく静養するときなどにも受給期間を延長する事ができますが、その場合は最長2年の受給期間延長になります。