上手な退職・下手な退職

公共職業訓練を受講してみよう!

公共職業訓練とは、在職中の経験を活かした再就職が難しくなっている雇用情勢の中、新しい技術を身に付けて、第2の人生を展開していこうとするための、無料で受講する事ができる訓練施設のことです。

公共職業訓練には、2つのタイプがあり、ひとつは都道府県など自治体が運営する「技術専門校」(かつては、職業訓練校)と呼ばれる施設と、もうひとつは、厚生労働省の外郭組織である「独立行政法人雇用・能力開発機構」が運営する職業訓練プログラムで、「ポリテクコース」と呼ばれているものです。

 
 

都道府県の技術専門校の場合、年齢制限はなく、誰でも応募が可能となっています。応募は、ハローワークと各種訓練施設で受け付けており、筆記試験や面接で選考されます。入校時期は、コースによって異なり、1月、4月、7月、10月の年4回が多いようです。詳しくは、ハローワークに置いてあるパンフレットなどをご覧になってみてください。

この年になっていまさら学校なんていきたくないし、そんなことをするぐらいならすぐにでも再就職先を探したい、と思っている方もいるでしょう。そんな方のために、公共職業訓練を受講することによって得られるメリットや特典について以下で説明していきます。

 

公共職業訓練にはメリットがたくさんある

公共職業訓練には、以下で説明するたくさんのメリットがあります。

①入学金や授業料は無料で受講できる

技術専門校では、民間の専門学校に比べて短期間で専門技術を身に付けることができるうえに、入学金や授業料はタダで受講する事ができます。民間の専門学校に通った場合、最低でも50万円~100万円の学費がかかることを考えればこれほどおいしい話はありません。なお、自己負担として、作業服代や教材代などで1~3万円程度かかる場合もあります。

 

②失業手当を受給しながら通う事ができる

雇用保険の受給資格のあるうちに、公共職業訓練を受講すると、所定給付日数が過ぎても、訓練終了まで基本手当を受給することができます。職業訓練のコースが、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年コースがあるので、最大で2年間も「訓練延長給付」を受けることができるのです!タダで勉強ができて、さらに基本手当まで受給できるなんて素晴らしい話です。

 

③自己都合退職者は、給付制限が解除される

自己都合退職者の場合、3ヶ月の給付制限が課せられますが、公共職業訓練を受講すると、この3ヶ月間の給付制限が解除されて、会社都合の場合と同じようにすぐに基本手当を受給することができるようになります。

 

④技能習得手当などの各種手当を受けることができる

訓練中、基本手当とあわせて「技能習得手当」がもらえます。技能習得手当とは、「通所手当」と「受講手当」があり、「通所手当」は交通費4万2500円まで支給され、「受講手当」は、訓練を受けた日につき日額500円が支給されます。その他、扶養同居親族と別居して寄宿する場合は、月額1万700円が「寄宿手当」として支給されます。わほ…。

 

⑤基本手当の受給手続きが簡便化される

一般の失業者が、基本手当を受給する場合、失業認定日のたびに(4週間ごと)職安にでかけて係官と面談しなければなりませんが、公共職業訓練を受講した場合は、毎月末日が認定日となり、手続きはすべて訓練校側が代行してくれます。認定日のたびに職安に出頭する必要がなくなるので手間がなくなります。

 

⑥1~2年コースは、通学定期、学割が適用される

⑦技能者育成資金の貸付制度がある

⑧訓練終了後、就職を斡旋してもらえる

⑨共通の目的をもった友達や仲間ができる


以上、ざっと見てみたように、公共職業訓練を受講することは、失業者にとって非常にありがたい制度となっているのです。会社を退職したはいいけど、アピールできる技能や技術もないし、特にやりたいことも見つからないという方は、是非、公共職業訓練を受講されてみてはどうでしょうか。

因みに、失業率が高水準にある昨今では、どこのコースでも競争率が激しく、そう簡単には入校できないのが現状です。訓練延長給付は、基本手当の受給資格期間が残っている場合に限り、支給を受けることができるので、ぐずぐずしていると公共職業訓練に入校する前に訓練延長給付の受給資格が喪失してしまいます。

職業訓練に入校を考えている方は、退職前にどのコースに入校するか事前にチェックし、その対策もしっかりと考えておきましょう。また、初めてハローワークに行った時の面接で、「公共職業訓練に入校したいのですが…」と相談を持ちかけてみてもいいでしょう。