上手な退職・下手な退職

国民年金が払えない時の免除制度

国民年金を受給するためには、最低でも25年、満額を受給するためには40年の加入期間が必要になります(年金のしくみと滞納問題を参照)。追納、継続申請について。

年金なんてアテにできないと、国民年金保険料を支払わないという選択肢を取る人もいれば、保険料を納めたくても、経済的な事情などで納めることができない人もいます。

平成18年度の国民年金は13,860円で、毎年280円ずつ平成29年度まで引き上げられる予定となっています。ある程度の収入があるひとにとってはさほど苦にならないかもしれませんが、低収入の若者や失業中のひとにとっては、ばかにできない金額です。夫婦2人分支払う場合は、2倍の27720円 にもなります!

失業中にこれほどの保険料負担を強いられては国民年金を払えないひとがたくさんいるのも容易にうなづけます。しかし、このまま放っておけば、国民年金を滞納することになり、年金の加入期間にも算入されなくなり、結果的に老後に受け取る年金額も減少してしまいます。

そこで登場するのが一定の手続きをすることで国民年金に加入することができる保険料の免除・猶予制度です。免除の申請をして承認を受けると、一定の期間は保険料を納めなくていいばかりか、将来年金を受け取るために必要な受給資格期間(25年)にも算入されるのです。

法定免除と申請免除について
10年以内に追納すれば年金額は元に戻る
申請免除の手続き時に持参するもの
全額免除及び納付猶予の継続申請について

 
 

 

法定免除と申請免除について

国民年金保険料の免除・猶予制度には大別して以下の4つに分けられます。

(1) 法定免除
(2) 申請免除
(3) 学生納付特例
(4) 若年者納付猶予

 

法定免除を受けられるのは、「生活保護法による生活扶助を受けている人」、「障害基礎年金、障害厚生(共済)年金1級、2級の受給権者」が対象となります。

申請免除の対象者は、退職・失業や転職に伴って所得が少なくなったなどの経済的な理由から保険料が支払えなくなった人たちが該当します。

申請免除は「全額免除」と「半額免除」に大別され、さらに平成18年7月からは多段階免除が導入され、「全額免除」「半額免除」に加えて、「3/4免除」「1/4免除」が追加されました。

免除の申請は、市区町村の国民年金担当窓口にて審査のチェックが行われます。申請が認められると、保険料の免除が受けられるようになり、免除を受けた期間分の年金額は、以下表のように、全額免除で1/3、半額免除で2/3の期間として将来の老齢基礎年金額に反映されます。

裏を返せば、免除された期間分は、将来受け取る年金額から減額されることになります(以下後述)。

  対象者 年金額の計算
法定免除 届出=免除
生活保護法による生活扶助を受けている人
障害基礎年金、障害厚生(共済)年金1級、
2級の受給権者
保険料を全額収めた場合の1/3




全額免除 届出→審査→認定
20歳以上60歳未満の人(学生は除く)
・所得が少ない人
・災害、失業等の特別な理由のある人
保険料を全額収めた場合の1/3
3/4免除 保険料を全額収めた場合の1/2
半額免除 保険料を全額収めた場合の2/3
1/4免除 保険料を全額収めた場合の5/6
若年者納付猶予 届出→審査→認定
30歳未満の人(学生は除く)
・所得が少ない人など
算入されない
学生納付特例 届出→審査→認定
申請者本人の前年所得が「118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以内の学生

※学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で、夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれます。
算入されない

 

■申請免除される所得ラインの目安

以下表は、申請免除される所得ラインの目安です。単身世帯の場合、全額免除を受けるためには前年の所得が57万円以下、半額免除を受けるためには141万円以下という金額が目安となります。給与収入でいえば、122万円以下、227万円以下が目安です。

  免除後の保険料 単身世帯 2人(夫婦)世帯 4人世帯
全額免除 0円 57万円
(122万円)
92万円
(157万円)
162万円
(257万円)
4分の3免除 3,470円 93万円
(158万円)
142万円
(229万円)
230万円
(354万円)
半額免除 6,930円 141万円
(227万円)
195万円
(304万円)
282万円
(420万円)
4分の1免除 10,400円 189万円
(296万円)
247万円
(376万円)
335万円
(486万円)
全額納付 13,680円  

※( )内は給与収入

 

10年以内に追納すれば年金額は元に戻る

国民年金保険料の免除は、保険料を払えない人にとってとても便利な制度ですが、保険料を免除されると、将来もらえる年金額が減額されてしまいます。

そこで、免除を受けた後に生活のゆとりができたときは、免除を受けた分の保険料を後から納めれば、本来もらえるはずだった年金額に戻すことができます。これを追納といいます。

年金を受け取る前であれば、10年以内の分にさかのぼって追納することができます。追納の額は、保険料に一定の加算率を加算した額になります。

ただし、2年以内に納めた分については加算はありません。2年を経過するごとに当時の保険料に基づいた 加算金がつきますので、生活にゆとりができたらなるべく早めに追納しましょう。追納金額は、各年度によって異なりますので、詳しいことは各市区町村の国民年金課へお尋ねください。

なお、免除の適用を受けずに保険料を滞納していたとしても、2年までならさかのぼって納めることができます。

 

申請免除の手続き時に持参するもの

申請免除の手続き時には以下のものを持参していきましょう。なお、各地域によって持参品が若干、異なる可能性もありますので、お住まいの市区町村のホームページなどで予め確認しておくようにしましょう。

(1) 年金手帳(または基礎年金番号のわかるもの)
(2) 印鑑(本人自署の場合は不要)
(3) 申請年度または前年度に失業した場合は雇用保険受給資格者証、または離職票

 

全額免除及び納付猶予の継続申請について

平成17年3月までは、翌年度以降も免除希望の場合は、毎年申請が必要でしたが、平成17年4月からは全額免除と若年者納付猶予に限り、免除申請を提出する際に継続申請希望確認欄に「はい」と○をつければ、申請が不要となりました(自動的に継続申請したものとみなされます)。

ただし、失業・災害等の理由による継続申請は適用になりませんので、翌年度以降に再度申請が必要になります。また、学生納付特例制度を利用している方の継続申請もできません。 翌年度以降も免除を希望する人は、翌年の7月から8月の間に手続きを済ませてください。