上手な退職・下手な退職

医療費負担が大きいときの高額療養費

被保険者や被扶養者が長期入院したり、病気にかかったりして高額の自己負担を余儀なくされ、1ヶ月間に一定の額を超えた場合、その分は高額療養費として、本人の請求に基づいて健康保険または国民健康保険から支給されます。

1ヶ月の医療費の自己負担限度額は、一般、上位所得者、低所得者の3区分となり、各々その限度額を超えた分(以下表参照)が2~3ヶ月後に払い戻されます。また、同一世帯(同一保険証)で同じ月に2万1000円以上の自己負担が2つある場合も、世帯で合算して自己負担額を超えた分が払い戻されます(合算高額療養費)。

 
 

高額療養費を申し出る場合は、政府管掌健康保険なら社会保険事務所に、組合管掌健康保険なら健康保険組合に、国民健康保険なら市区町村役場に「高額療養費支給申請書」を提出します。期限は特に設けられていませんが、2年で時効となるため、できるだけ早く申請するようにしましょう。

なお、高額療養費は数ヶ月してから払い戻される仕組みとなっているため、患者側は1時的に高額な窓口負担を余儀なくされます。そこで、高額医療費貸付の制度も設けられています。

■自己負担限度額

区分 医療費(月額) 自己負担限度額
上位所得世帯 466,000円超 139,800円 + (医療費 - 466,000) x 1%
466,000円以下 139,800円
一般世帯 241,000円超 72,300円 + (医療費 -241,000) x 1%
241,000円以下 72,300円
低所得世帯 - 35,400円

 

■多数該当の高額療養費

同一世帯で1年間に1人または2人以上をあわせて4回以上の高額療養費が支給される場合は、自己負担分が軽減され、4回目から4万200円(上位所得者は7万7700円、低所得世帯は2万600円)を超えたときは、超えた分は払い戻されます。また、同一世帯であっても老人保険などの別の医療保険に加入している人の分は合算できません。

 

■医療費の支払いに困ったときの高額医療費貸付制度

医療費が高額すぎて支払えない場合、高額医療費貸付制度を利用する事ができます。通常、高額療養費は請求してから払い戻されるまで2~3ヶ月程度かかりますので、その間の医療費の負担が大きすぎる場合もあります。その際は、この制度を利用を検討してみましょう。

貸付限度額は、高額療養費支給見込み額の8割相当額、利子は無利子、返済方法は、被保険者の任に基づいて高額療養費から直接返済されます。高額療養費貸付制度の申込みは、「高額医療費貸付金貸し付け申込書」に必要事項を記載し、都道府県社会保険教会に提出します。