会社を退職すると、その翌日から健康保険の被保険者資格も喪失してしまうので、他の健康保険に加入するのが原則ですが、健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あり、退職の翌日から20日以内に手続きをすれば、その後継続して2年間は、任意継続被保険者として退職後も同一の健康保険に加入する事ができます。
任意継続に加入するための条件は、厳しくはありませんが、退職後20日以内に手続きをしなければならないので、任意継続するつもりの人は締め切りに間に合うように手続きを済ませましょう。この期間を逃してしまうと、一切手続きはできなくなります。
在職中は、会社が保険料を半額負担していますが、任意継続被保険者になると保険料は全額自己負担になります。つまり、いままでは会社で払っていた分も自分で払わなければいけなくなるため、保険料は退職時の2倍になります。
しかし、健康保険料には上限の金額が設定されており、全額自己負担となっても、在職中に差し引かれていた金額と変わらない人もいれば、国民健康保険に加入するよりも保険料が安くなる場合があります。一般的には、退職後最初の1年間は、任意継続被保険者制度のほうが保険料の負担が若干軽くなります。
それは、国民健康保険の保険料は、前年度の所得に応じて課税されてしまうからです。年間に支払う国民健康保険料の上限が53万円と設定されているものの、最初の1年間は退職前1年間の所得で決まるため、ほとんどの人は今までより高くなってしまうでしょう。
なお、国民健康保険料は、住所地の市区町村によってその保険料額は異なるため、全ての人が任意継続を選んだ方が保険料が安くなるとは限りません。
したがって、健康保険と国民健康保険の保険料を比較して、どちらか安い方に加入しましょう。どちらが安いかわからない場合は、市区町村の国保課に電話して教えてもらいましょう。
■任意継続被保険者の保険料額の上限
任意継続の保険料額は、退職時の本人の標準報酬月額と、その人が加入していた健康保険の全加入者の標準報酬月額の平均値を比べ、低い方の額に保険料率をかけて求める事ができます。
標準報酬月額とは、毎年9月30日に改定され、給与を金額ごとに39等分に区分し、それに基づいて作られた保険料額表上での仮の月額報酬のことで、社会保険庁のホームページで公開されています(以下リンクを参照)。
平成18年度9月5日時点での政府管掌健康保険の標準報酬月額は、47万円(25等級)になるので(上記URLの社会保険庁のページを参照)、政府管掌健康保険の全加入者の標準報酬月額28万円の低い方を基準として保険料9.43% を乗じます(介護保険料含む)。よって、一か月分の保険料は以下の計算式とおり、26,404円になります。
280,000円 x 9.43% = 26,404円
健康保険の任意継続は、毎月の保険料をその月の1日から10日までに支払わないと、その資格を喪失します。納入方法を予め確認し、保険料の支払い日には注意しましょう。
なお、口座振替も可能なので支払いを忘れがちな方は利用するといいでしょう。半年分、1年分を前納すると保険料は割引になってお得になります♪